LPJ 2024 オランダ/イギリス研修旅行
2024年11月3日から10日にかけて、オランダとイギリスを訪れる「LPJ 2024 オランダ/イギリス研修旅行」が実施されました。本研修では、ユリの育種、球根生産、切花生産から市場流通、仲卸、ブーケメーカー、小売量販店、専門店に至るまで、ユリに関する幅広い分野を視察しました。
コロナ禍以降、ユリの球根や切花の生産を取り巻く環境は厳しさを増しています。今回訪問した各企業は、未来へのビジョンと10年先を見据えた明確な目標を掲げており、その姿勢が参加者に大きな刺激を与えました。同時に、日本における課題が改めて浮き彫りとなるツアーでもありました。
研修に参加した8名が、それぞれの立場から得た知見をその場で意見交換。視察中の気づきや考えを共有しながら、未来への展望を議論する貴重な時間を過ごしました。このような対話を通じて、参加者同士が深い学びを得るとともに、業界全体の進化につながる一歩となることが期待されます。
今回の研修旅行は、ユリ業界の現在と未来を見つめ直す機会となり、多くの示唆に富んだ充実の内容となりました。
2024年11月4日(月)オランダ
Royal Flora Holland オークション(https://www.royalfloraholland.com/en)
・世界最大規模の花市場であり、173haという広大な敷地を持つ
・1日の出荷量は約4,400万本
・音声指示システムやオンライン取引システム「フロリデイ」など、デジタル化が進んでいる
・71%の商品にMPSやFSIといった環境認証が導入されており、2027年までに100%を目指している


WATERDRINKER 卸売業者(https://www.waterdrinker.nl/en/home)
・設立50年の鉢物卸売業者で、キャッシュ&キャリーとオンライン販売を均等に展開
・顧客体験を重視した商品展示と鮮度を保つ物流技術が特徴
・真空予冷技術やコールドチェーン管理を活用
・顧客の約90%が輸出向けで、特に鉢物に強みを持つ


Melle Jongkind Boeketten ブーケメーカー(https://www.mellejongkind.nl/en/)
・1981年設立のブーケメーカーで、手作業にこだわった高品質なブーケ制作が強み
・専属デザイナーによるオリジナルデザインを提供
・需要期には1日10,000束以上を生産する柔軟な体制を持つ


A&L Duin 日本スタイル最高級生産者(https://a-lduin.nl/en/)
・家族経営の小規模生産者で、ユリとチューリップを生産
・移動式ハウスを活用した効率的な生産手法が特徴
・高品質な品種にこだわり、一般的な市場価格の約2~3倍の単価で取引
・土壌栽培にこだわり、環境への配慮も行っている


Boltha BV 球根生産者(https://boltha.nl/)
・1914年設立の球根生産会社で、ユリを中心にチューリップやムスカリの球根を生産
・持続可能な農業をテーマに、農薬削減やAI技術の活用に取り組む
・ウイルスフリーの球根生産を推進
・チリでも生産を行い、地域分散型の生産体制を構築
Roselily ローズリリー(https://roselily.com/)
・八重咲きユリを専門とする生産会社で、OT系八重咲きユリの開発に注力
・花粉がない「ローズリリー」ブランドを展開
・ベトナム、中国、南米など、多様な市場に輸出



2024年11月5日(火)オランダ
Trade Fair Aalsmeerアールスメール見本市(https://tradefairaalsmeer.royalfloraholland.com/en)
・ヨーロッパ最大の花卉栽培見本市で、最新のトレンドや技術が展示される
・622社が出展し、約21,000人が来場
・Decorumなどの一流ブランドの展示が注目を集めた


International Floriculture Trade Fair 国際花卉見本市(https://hppexhibitions.com/iftf/)
・世界中の花卉生産業者が集まる国際的な見本市
・アフリカや南米からの参加者が増加し、グローバルな花卉貿易の重要性が認識された
・球根定植機や自動化機械、物流関連サービスなどが展示
・日本ブースも出展したが、装飾や展示方法には改善の余地があると感じられた


2024年11月6日(水)オランダ
Moerman Lilium 八重咲きユリ、プレミアムスーパーマー(https://www.facebook.com/moermanlilium)
・大規模ユリ生産者で、年間1,800万本のユリを生産
・ボックス栽培を採用し、環境に配慮した生産体制を構築
・スーパーマーケットと卸売業者向けに高品質なユリを供給


Novastar スーパーマーケット生産者
(https://www.facebook.com/NovastarLilies/)
・年間2,000万本のユリを生産し、主にイギリスのスーパーマーケット向けに出荷
・効率的な大量生産体制と環境に配慮した生産が特徴
・100%土壌栽培を採用


De Bosrand 高級ガーデンセンター(https://www.bosrand.nl/)
・大規模ガーデンセンターで、「植物を軸とした空間作り」をコンセプトにしている
・IKEAのような商品イメージ展示スタイルを採用


Geber.Vletter & Den Haan ユリ育種(https://www.vletterdenhaan.com/)
・ユリの育種における世界的リーダーで、多くの国で流通しているユリのほとんどが同社の品種によるもの
・新品種の開発には10年以上の年月を要する
・八重ユリの開発にも注力


Van Zanten flower bulbs 球根輸出/育種(https://www.royalvanzanten.com/en/)
・160年以上の歴史を持つユリや菊の育種・球根販売会社
・八重ユリの育種や環境に配慮した流通技術の開発に注力
・ピートモス代替の梱包材を試験中


C.N.B.(https://www.cnb.nl/en)
・種苗会社、生産者、販売業者を結びつける中間業者
・ユリの品種や球根を中心に、さまざまな農業関連の商談を仲介
・ユリ品種の品評会も開催



2024年11月7日(木)イングランド
Waitrose ウェイトローズ(https://en.wikipedia.org/wiki/Waitrose)
・高級志向のスーパーマーケットチェーンで、花売り場が充実
・花束は平均20ポンド(約4,000円)で、ギフトとしての需要が高い
・店頭の花の約90%が輸入品


FLOWERS FROM THE FARM 切花生産者の団体
The School of Sustainable Floristry (https://www.schoolofsustainablefloristry.co.uk/)
・イギリス国内の小規模花農家を中心とした団体で、地産地消を重視
・環境に配慮したオーガニック栽培を行っている
・サステナブルなフローリストを育成する学校も運営


MM Flowers マーク・スペンサー/テスコへの花束製作(https://www.mm-flowers.com/)
・大手スーパーマーケット向けに花束を加工・納品する会社
・サプライチェーン全体を管理し、高い自動化率を誇る
・日保ち試験や従業員教育を通じて品質向上を図っている


Tesco テスコ(https://x.gd/cyjbS)
・イギリス国内に約2,000店舗を展開する大手スーパーマーケットで、花の取り扱いも大規模
・切花、鉢物、球根など、幅広い商品を取り扱い、価格帯もリーズナブル
・日持ち保証が付けられ、利便性が高い
Marks & Spencers マーク・スペンサー(https://x.gd/3aYX4)
・高級スーパーマーケットで、品質重視のブランドイメージを持つ
・M&Sは Tescoよりやや高めの価格設定
・鮮度保持剤が添付され、日持ち保証が付属



2024年11月8日(金)イングランド
E.M Cole Farms Ltd, West Pinchbeck ユリとチューリップの生産者(https://www.emcolefarms.com/)
・イギリスの大規模生産者で、ユリとチューリップを中心に多品種栽培
・ボックス栽培や水耕栽培を採用し、環境に配慮した栽培方法を実践
・スーパーマーケット向けの販売に特化


Bridge Farm Horticulture 英国で最大の鉢植え生産者(https://bridgefarmhorticulture.co.uk/)
・年間7,000万鉢以上を生産するイギリス最大の鉢物生産者
・主にポインセチアを栽培し、スーパーマーケットへ出荷
・環境に配慮した生産と自動化を進めている


Poplar Farm Flowers ユリとチューリップの生産者(https://poplarfarmflowers.co.uk/)
・年間1,000万本のチューリップを生産するイギリス最大級の生産者
・オートメーション技術を駆使し、効率的な栽培・出荷を行っている
・MM Flowersに売却され、さらなる規模拡大を目指している



*この場をお借りして、視察を受け入れくださったオランダとイングランドの皆様、そしてしてLPJの温かいサポートに心より感謝申し上げます。(参加者一同)